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2005年12月28日

下流社会


少し時間があるので、と思い、久しぶりに本を購入した。(いつも図書館で借りるから買ったのは久しぶり)この本、ちょっと気になっていたので。
結果、読むに値するのはpp262~273の「おわりに」だけ、と思った。
(読んでよかったと思ったのは最後にあるノブレス・オブリージュという考え方の紹介だけだった。)
そこまでの260ページは、自前の調査結果を、本の企画意図に合うように都合よく解釈した分析が続く。引用はほとんどが自著からのもの。
途中掲載されるインタビューも、「こういうのを載せれば面白いでしょ」とでも考えたのか、あまりに典型的な例を誇張して書いているようにしか見えない。

私にはこの本は良い本とは思えない。

事実だけ羅列しても真実も現実も見えてこないのではないか。
確かに事実を述べているのだと思う。データには嘘はないだろう。でも、その向こうにあるはずの人生の微妙な現実については触れていない。逃げているのでは なく、意図的に触れていないのだと思う。なぜなら、わかりやすい階層間の対立構造がぼやけてしまい、本が売りにくくなるから。そう感じた。

志が低いと感じる。
著者の方が実際にそんな人間なのかどうかは関知しない。ただ、この本はそういう印象を与えるし、階層化している社会を単にヤバいよ、ヤバいよと煽っているだけのように見えるからだ。

商売なんだから売れなきゃ、儲からなきゃ、はじまらない。せっかく面白そうな本ができそうなんだから、売れるように書いたっていいじゃない。
そういう考えもあるだろう。でもそういう考えこそが著者の言う下流社会を作り出す主な原因なのでは?そうやって手法だけを追い求めた結果が格差の拡大であり、下流の出現なのでは?

本当に悔しいのは、こうして私もこの著者の思惑にはまり、彼の印税収入に貢献してしまったことだ。自分の見る目のなさに腹がたつ。

じゃ、アフィリエイトバナー出すなよ、って?ごもっとも。でも自分でタグを打つのが面倒なので...

あ。
こういう横着(言い換えると便利さ)の向こう側にはそれで得をする人がいるということなのですね。その「得」(=利得、利益)は一部に集中するようになっていて、それがまた格差を生んでいくことにつながる、ということなのだろうか。
うーん。

投稿者 zen : 2005年12月28日 09:56

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